2020年10月16日金曜日

『宗教文化は誰のものか:大本弾圧事件と戦後日本』(発売中!)を(自分で)薦める(その1)

というタイトルの本を出すことになった。すでに手元に届いたが、奥付は10月30日となっているので、書店等での発売はもう少し先のよう。2冊目の単著で、前の本から5年ぶりである。

前著のときは、あまり宣伝らしい宣伝をしなかった。Facebookで少し告知したぐらいか。面倒くさいというより、なんとなく照れくさいとかそういうレベルのことだった。しかし本をつくるのに自分以外のいろんな人が努力してくれているのにそんなことを言っている場合でもないということで、今回は多少なりとも宣伝を試みたい。ということで告知用にTwtterでもはじめようかとも思ったのだが、なんかウィット&ユーモアに富んだ短文を書かなければならないのではないかという自己検閲にさいなまれるような予感や、クソリプとか飛ばされたら困るなあという不安で、はじめる前から疲れてしまったので遺憾ながらTwitterプランは廃棄である。Facebookは前から一応やっているが、これもしばらく前からなんだか気が重くなってほとんど書きこまなくなってしまっている。タイムラインでベルトコンベア的に流れていってしまう感じがどうにも慣れないのである。

いや、べつにSNSについてどうでもいい雑感をのべたくてこれを書いているわけではないのだ。とにかく(脳内会議の末)なんやかやで最終的にブログという伝統的ツールがベストだということになった。自分的には一定の長さのある文章を書かないとどうにも落ち着きが悪いということがひとつ。そして、公開したからといっていちいち自動的に他人様のタイムラインにしゃしゃり出ることがない控えめさがいい。ひっそりとしていたいのである。そもそもこのブログの存在自体、リアルの知り合いをふくめてほとんど誰も知らないのではないだろうか。ひっそりとしていて宣伝の意味があるのかどうかが今回は問題となるわけだが、そこはのちの課題としておこう。

さて『宗教文化は誰のものか:大本弾圧事件と戦後日本』である。版元の紹介ページはコチラ。そこから目次を拝借すると、こういう構成になっている。

序章 大本弾圧事件の戦後
     1 事件の残骸
     2 〈事件〉が切りひらく世界
     3 読みの運動と解釈共同体
     4 協働表象が生じる場
     5 結節点としての大本七十年史編纂会
     6 本書の構成
     7 戦前期大本の歩み

第1章 戦後大本と「いまを積み込んだ過去」
      —— 前進と捻じれの平和運動
     はじめに
     1 大本の平和運動をとらえるためのふたつのスケール
     2 七王も八王も王が世界に在れば……
     3 出口伊佐男の世界連邦主義
     4 人類愛善-世界連邦運動の展開
     5 人類愛善-原水禁運動のはじまり
     6 出口榮二の平和思想
     7 人類愛善運動とアジア主義
     8 平和運動の軋み
     9 破 裂
     おわりに

第2章 〈事件〉をめぐる対話
     はじめに
     1 「神さまの摂理」としての〈事件〉
     2 大本邪教説の再構成
     3 予備調査へ
     4 〈事件〉をめぐる対話
     おわりに

第3章 宗教文化は誰のものか
     はじめに
     1 大本七十年史編纂会の形成
     2 “民衆宗教” という表象
     3 教祖の人間化
     4 戦争と平和
     5 〈事件〉は誰のものか
     6 『大本七十年史』とその後
     おわりに

第4章 “民衆” の原像
      —— 出口榮二と安丸良夫
     はじめに
     1 アイヌへのまなざし
     2 “土” の文化と縄文
     3 「万教同根」とアジア主義
     4 読みの運動のなかの『出口なお』
     5 無意識としての神
     6 筆先の「改編」
     7 “民衆” の原像
     おわりに

第5章 “民衆宗教” の物語の起源
      —— 教祖をめぐる欲望の系譜学
     はじめに
     1 新宗教研究と複数の経路
     2 単層的な教祖像
     3 深層への遡行
     おわりに

第6章 反倫理的協働の可能性
      —— 高橋和巳『邪宗門』を読む
     はじめに
     1 高橋和巳の衝動とひのもと救霊会
     2 ひのもと救霊会の構造
     3 〈事件〉の変奏
     4 協働の反倫理性
     おわりに

終章 批判的宗教文化への視角
     1 “いま” を生きる大本
     2 苦闘の軌跡へ
     3 捻じれた連続性
     4 “本質” をめぐる解釈闘争
     5 戦後社会のなかの “民衆宗教”
     6 分析的介入の課題

 註
 戦後大本関連年表
 あとがき
 図表一覧
 索 引


内容紹介としては、こんなふうに書いていただいている。
信仰の “内か外か” を越えて ——。最大の宗教弾圧事件の記憶は戦後、いかに読み直され、何を生み出してきたのか。教団による平和運動を導くとともに、アカデミアにおける「民衆宗教」像の核ともなった「邪宗門」言説の現代史から、多様な主体が交差する新たな宗教文化の捉え方を提示。
かぎられたスペースに中身を盛り込んでいただいているので、これだけでは具体的な内容をイメージしきれないかもしれない。というわけで、これからもう少し言葉をおぎないながら本書の魅力をお伝えしてみようと思う。が、はやくも少々疲れてしまったので、つづきは次回に! 宣伝なのに連載である。

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